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アクセスが減少した場合の分析フレームワーク

アクセスが減少した場合の分析フレームワーク

Web担当者にとって、自社ホームページのアクセス減は頭の痛い課題ですね。
Webサイト管理を外注している場合によくあるのが、PV・UUの月別・週別・日別の膨大なデータを提示され、「PV・UUともに減少傾向です!SEO対策の強化がおすすめです!」などと言われるもの。
データを見ればわかることを「分析レポート」と称し、SEO対策への投資を促すのは良くない事業者です。気を付けましょう。

 

ではアクセスが減少した時、まず何をしたら良いのでしょうか。それは、ある程度「網羅的」に原因を追究することです。なぜ「網羅的」である必要があるかというと、頭のイイ上司なら、アクセス減少の原因を報告すると「それだけなの?」と突っ込んでくることが予想されるためです。

 

「それだけなの?」攻撃を防ぐのが、網羅的なフレームワークです。実際には完全に網羅することは難しくても、多面的に原因究明したという説得力があります。

 

一度フレームワークについて学んでおけば、毎回そのフレームワークに沿った分析を行えば良いので、作業効率も上がります。報告フォーマットも統一できるので、過去の分析との比較も行いやすくなりますね。
 

アクセス減少を読み解くフレームワーク

フレームワークは、凝りすぎるとわかりづらくなります。誰もが知っている、シンプルなフレームワークを活用するのがポイント。おすすめなのが、「3C分析」。今さら!と思うかもしれませんが、伝統的なこのフレームワークは意外と万能です。

 

3C分析の視点で、論点を整理してみましょう。

  • 市場(Customer):ユーザーのどの端末からのアクセスが減っているのか?(PC・モバイル)、どのチャネルからのアクセスが減っているのか?(自然検索、広告、ブックマーク、リンク、ソーシャルメディア)
  • 競合(Competitor):競合サイトの表示順位はどうか?競合サイトのコンテンツに変化はあったか?
  • 自社(Company):アナリティクスの設定に不備はないか?Googleからのペナルティは受けていないか?時系列でデータを比較しどのページのアクセスが減っているのか?

 

このように論点を整理すれば、分析から打ち手の導出がスムーズに行えます。フレームワークで整理すると、アクセス減少の原因には様々なものがあることがわかりますね。
 

市場(Customer)が原因のアクセス減少対策

今やwebサイト閲覧の主体はPCからスマホへとシフトしてきました。調査会社ニールセンが2015年に行った調査では、インターネット利用時間の7割をスマホが占めているという結果が出ています。

 

電車の中や寝る前など、スキマ時間に情報収集する人が増え、スマホサイトの重要性は増してきています。企業webサイトは、きちんとスマホ対応していますか?
スマホからのアクセスが減少している場合、スマホユーザーに対するインターフェイスが良くない可能性があります。
トップページだけスマホ対応、画面表示をスマホ画面に合わせただけ、などという状況の場合は至急改善しましょう。

 

また、どのチャネルからのアクセスが減少しているかは、Google Analyticsで確認することができます。

 

自然検索が減っている場合、表示順位が変動したという原因ももちろんありますが、最近はマクロ的にも検索エンジンからの流入が減っているという傾向が見られます。

 

2014年にアメリカのShareaholic社が行った調査によれば、調査対象としたwebサイトのうち、Googleからの流入が半年で6%も減少していたとのこと。

 

今どきの女子高生・女子大生にとっての検索ツールはGoogleではなくTwitter検索だそうです。タイムリーな情報を手軽に得られることから、検索ツールとして活用する人が増えています。アクセス回復のためにソーシャルメディア対策を始めましょう。

 

広告からの流入が減っている場合は、リスティング広告のかけ方を見直す必要があります。どのキーワードにいくらかけるべきか、曜日や時間帯別の出稿量をどう調整するべきか、広告文はユーザーを惹きつけるものになっているか、などのポイントをチェックしましょう。

 

利用者が増えているはずのソーシャルメディアからの流入が減っている場合は、更新頻度や内容を見直し、使用媒体を増やすことも検討しましょう。ソーシャルメディアをwebプロモーションに積極活用しているローソンにおいては、使用しているソーシャルメディア数はなんと20以上にのぼり、Twitterは毎日2~3回更新しています。

 

ブックマークやリンクからの流入については、対策の施しようがないのであまり気にしなくて大丈夫です。

 

競合(Competitor)が原因のアクセス減少対策

競合サイトの表示順位やコンテンツも日ごろから意識しておきましょう。競合サイトが何らかの対策を取り、アクセスを持って行っている可能性もあります。

 

特に、競合サイトが頻繁にコラムやプレスリリースを更新しており魅力的なサイトになっている場合は、自社においてもコンテンツマーケティングを強化しましょう。

 

自社(Company)が原因のアクセス減少対策

ユーザーや競合の動向に何も異常がなかった場合、webサイト管理上の単純ミスが隠れている場合もあります。

 

GoogleAnalyticsの設定ミスはその最たるもの。GoogleAnalyticsは非常に多機能で、指示文がわかりにくいこともあり設定ミスをしてしまう可能性があります。

 

設定ミスによるアクセス数の分析間違いを防ぐ方法を2つ紹介します。
①GoogleAnalyticsを使用するユーザーの権限を分ける。1つのアカウントをチームメンバーで共有するのではなく、設定を変更できる人、レポートを閲覧するだけの人など、付与する権限の範囲を変える。
②GoogleAnalytics の設定ミスを通知してくれる「Diagnostics機能」を利用する。こちらのページ(https://docs.google.com/forms/d/1B3kNh8vkmAoIMG0kdFeQ6RtLplFLmjxmlqdlOwX65eU/viewform)から利用申請することができます。

 

Googleからのペナルティを受けていないかどうかもチェックすべきポイントです。ウェブマスターツールは定期的にチェックしましょう。

 

ペナルティを受ける要素には様々なものがあり、詳細はGoogleのガイドラインを確認する必要がありますが、コンテンツマーケティングを始めたばかりの頃に心配なペナルティについて2つ、解説します。

 

1つ目は、コンテンツにキーワードを埋め込みすぎていることです。コンテンツの中にキーワードを適切に埋め込むことは、SEO対策上重要ですが、キーワードの出現率が高すぎるとペナルティの対象になってしまいます。
キーワードの出現率は、「何%までならOK」と明確に設定されていないので難しいところですが、Googleガイドラインに事例が示されています。この事例から考えてみましょう。

 

Googleで「NG」としている事例:
「当店では、カスタムメイド葉巻ケースを販売しています。当店のカスタムメイド葉巻ケースは手作りです。カスタムメイド葉巻ケースの購入をお考えでしたら、当店のカスタムメイド葉巻ケース スペシャリストまで custom.cigar.humidors@example.com 宛てにお問い合わせください。」

 

この文例では、「カスタムメイド葉巻ケース」をキーワードにしていることは一目瞭然です。「カスタムメイド葉巻ケース」の出現率を、キーワード出現率チェックツールで調べると12.9%でした。ペナルティを回避するためには、出現率は多くても10%程度にとどめておくことが無難でしょう。

 

キーワード出現率のチェックには、タイトルやディスクリプションまで合わせて出現率をチェックする方法と、入力したテキスト内での出現率をチェックする方法の2通りが行える「ファンキーレイティング」というサービスがおすすめです。

 

2つ目は、オリジナルコンテンツがほとんどない場合です。コンテンツを外注する際には、コピペ記事でないかを充分に確認しましょう。

 

まとめ

アクセスの減少には必ず何らかの理由があります。それを突き止めるべく様々な角度から調査・分析すると、ユーザーの動向がわかりマーケティング戦略にも役立ちます。

 

データを分析する際には、数字だけを眺めて何かを発見しようと思ってもなかなかできません。先にフレームワークや仮説を持っておき、検証する形でデータを収集するとスムーズでわかりやすい分析が行えます。