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クラウドファンディングの基礎知識とメリット&リスク

クラウドファンディングの基礎知識とメリット&リスク

 

絶対に当たる!世の中のためになる!と確信できるアイディアがあるのに実現するための資金がない…。

または、少しでもそんな人たちの助けになりたい!

そう思ったことはありませんか?

 

そんな双方の思いを実現するのが、「クラウドファンディング」です。

クラウドファンディングとは、Crowd(群衆)+Funding(資金調達)を合わせた造語。誰かが考えたアイディアに対し、共感した人・応援したいと思った人達が出資をすることによって、アイディアを実現する仕組みです。

 

たくさんの人から資金を調達して事業を立ち上げること自体は昔から行われてきたことですが、それがインターネット上で行われるようになったことで新たな市場が創出されたのです。

 

初めに知っておきたい1つのポイント

クラウドファンディングとは何か?を理解する上でまず初めに知っておきたいのがクラウドファンディングの5つのタイプ。これを知らないと、クラウドファンディングに関するどんな記事を読んでも、恐らくよくわからないでしょう。

 

  1. ①寄付型:インターネット上で行われる募金活動。出資者への見返りは無い。
  2. ②購入型:出資者は、プロジェクトで提供される商品やサービスを利用できる。
  3. ③貸付型:出資者は、出資金額に対する利子を受け取ることができる。
  4. ④ファンド型:出資者は、プロジェクトの成果に応じた配当を受け取ることができる。
  5. ⑤株式型:出資者は、プロジェクトを行う会社の未公開株や配当を受け取ることができる。

 

③~⑤は、いずれも出資に対する金銭的なリターンを期待するものなので、まとめて「金融型」と表現される場合もあります。

 

日本国内におけるクラウドファンディングは、件数ベースでは②のタイプが最も多く行われています。但し、一件の金額が小さいので、金額ベースでは③のタイプが最も多くなっています。

 

東日本大震災を契機に市場が拡大

クラウドファンディングは、2000年頃にアメリカで生まれ、2008年から2009年にかけて現在のクラウドファンディング市場を率いるプラットフォームが誕生しました。

 

  • Kickstarter:購入型。ミュージシャンなどを応援するプロジェクトが豊富。
  • Indiegogo:購入型。映画製作などのプロジェクトが豊富。Kickstarterよりも審査基準が厳しくないので色々変わったプロジェクトがあります。(信号の押しボタンをゲーム機にしよう!など)
  • Lending Club:貸付型。消費者金融や銀行より安く資金調達できますが、審査が厳しく10%程度の人しか融資が下りません。

 

日本では2011年に初のクラウドファンディングサービス「READYFOR」が誕生。東日本大震災の復興支援を機に、国内でクラウドファンディングサービスが盛り上がり始めました。

2012年には約69億円だったクラウドファンディング市場は、2014年には約197億円にまで拡大しました。(プロジェクト支援額ベース、矢野経済研究所調べ)

 

2015年9月30日時点の国内クラウドファンディング市場は、上位6社でシェア90%を占めています。

 

サービス名プロジェクト数支援者1人あたり平均支援額、万円シェア(プロジェクト件数ベース)%
READYFOR1,4309632.6
Makuake7799117.8
CAMPFIRE6928515.8
MotionGallery6367414.5
GREENFUNDING253995.8
ShootingStar1501393.4

 

クラウドファンディングのメリット・リスク

クラウドファンディングは、気軽に誰もが資金調達できるメリットがある一方、当然リスクもあります。

企業がベンチャーキャピタルや株主から資金調達を行う場合は、互いが信用力をしっかり見極めた上で実行されますがクラウドファンディングは、ほとんどの場合素人対素人。お互いどんな人物なのかよくわかりません。

 

まずは資金調達を行う人のメリットとリスクから考えてみましょう。

 

一般の個人が、銀行から融資を受けるのはなかなか大変なことです。年収やこれまでのカード払いの滞納状況や健康状態まで厳しくチェックされます。

安定した職業についていないと融資を受けるのは厳しいので、ミュージシャンやクリエイター、お店を出したいと思っている自営業の人など、資金提供を受けたいと思っている人ほど借り入れは難しいのが実情です。

 

しかしクラウドファンディングなら、どんな職業の人であっても、プロジェクトに賛同して出資してくれる人がいれば資金を調達できるのです。しかも、集めた資金は返済する必要がありません。(貸付型の場合は返済する必要があります)

 

一方リスクは3つあります。

 

①アイディアを誰かに真似されたり横取りされたりする可能性があります。

資金調達を行う際には、インターネットを通じて不特定多数の人に「こんな面白いことをやりたい!」と、その事業計画を事細かに、かつ魅力的に発信することになるので、そこはアイディアの宝庫です。

例えば、「日本初の〇〇なお店を作りたい!」というプロジェクトであれば、そのコンセプトをそのまま頂いて、資金のある人がお店を先に作ってしまうことだってできるわけです。

 

②賛同者がいなければ当然資金は集まりません。

 

③プロジェクトが実行できなかった場合、資金調達した人は出資者から厳しいクレームを受けることが予想されます。

インターネット上のサービスだからこそ、プロジェクトに失敗した資金調達者はネット上で誹謗中傷されるかもしれません。ネット上に悪い評判が残れば、再び資金調達を行いたいと思っても難しいでしょう。

 

出資者にはどのようなメリットがあるでしょうか。

寄付型の場合は社会に貢献したという満足感が、貸付型・ファンド型・株式型については、利子や配当などの利回りが得られます。

購入型における出資者のメリットはもっと幅広くあります。

 

資金調達者のプロジェクトが社会的意義の高い内容であれば、プロジェクトを通じて社会貢献できたという満足感が得られます。資金調達者のプロジェクトに賛同・共感して出資したのであれば、自分の好きなものを応援しているという一体感・充実感を得られます。

こうした自己実現欲求を満たすことができるのに加え、プロジェクトで提供する商品やサービスをいち早く利用することができるという実益もあります。

 

一方リスクは、もしプロジェクトが実行できなかった場合、出資したお金は返ってきません。当然、期待していた商品やサービスを得ることもできません。

プロジェクトが実行できるとしても、いつになるか期日がはっきりわかりません。

 

プロジェクトで得られる商品やサービスには魅力的なものが多いのですが、ショッピングや株主優待、ふるさと納税などと同じように考えてはいけません。あくまで、クラウドファンディングはリスクのある「投資」なのです。

 

クラウドファンディングを利用する際は、資金調達側・出資側のどちらの場合でも、これらのメリット・リスクを充分に理解したうえで利用するようにしましょう。

 

まとめ

クラウドファンディングのwebサイトをまずは一度覗いてみましょう。ワクワクするようなアイディア、なるほどこんな視点もあったかと目から鱗のアイディアがたくさんあります。仕事で煮詰まったとき、何かのヒントになるかもしれません。

 

クラウドファンディングは個人だけでなくソニーなどの大企業でも活用され始めています。企業で活用するケースでは、単なる資金調達だけでなくクラウドファンディングを活用することでニュース性が生まれ、アーリーアダプター(流行に敏感で、口コミを広げる人)を捕捉できることにメリットがあります。

 

Webやソーシャルメディアと親和性の高い商品・サービスを展開している企業なら、マーケティングの一手法としてクラウドファンディングを活用するのも一つの手です。