自社のwebサイト経由で新規顧客を獲得しようとする際には、SEO対策やリスティング広告でアクセスを増やすことばかりに注力しがちですが、アクセスが増加したからといってすぐに顧客数が増えるわけではありません。
大切なのは、webサイトを見に来たユーザーに、「欲しい!」と思わせる仕組みです。そんなコンテンツ作りのポイントについて解説します。
自社のwebサイトに、商品やサービスの紹介だけではなく、ターゲットとなるユーザー向けの読み物を掲載することはとても重要です。例えば、次のようなコンテンツです。
このようなコンテンツを掲載することで、うれしい効果が3つ期待できます。
①ターゲットユーザーに、「この会社のwebサイトは役に立つ!」と思われてブックマークされ、度々サイトを訪問してもらえる。(=購買に結びつく機会が増える)
②ロングテールSEOによるアクセスアップが見込める。
③自社サイトにたどりついたターゲットユーザーの購買意欲がアップする。
②と③について詳しく説明します。
②の「ロングテールSEO」とは何でしょうか。
SEOにはたくさんの人が検索する「ビッグワード」で上位表示させることを狙う方法と、検索する人の少ない「スモールワード」をたくさん狙う方法があります。
ビッグワードで上位表示されればたくさんの人の目に触れることが可能ですが、SEO対策にも多額の投資が必要となります。しかも、ビッグワードの場合はユーザーのニーズの幅が広いので、サイトを訪問してもらってもその後の購買行動に直結しないケースも多くあります。
例えば、「ダイエット」というキーワードで検索する人は多いので、このキーワードで上位表示されればたくさんのアクセスが見込めます。一方で、ユーザーの関心事は「ダイエット方法が知りたい」「ダイエットの効果が知りたい」「ダイエットに成功した芸能人が知りたい」など様々あります。ダイエットの「効果」が知りたい人に、ダイエット商品の販売ページを見せても直帰してしまうでしょう。
一方、「ダイエット 甘いもの」「ダイエット カロリー」など、より具体化されたキーワードは検索数が少ない分、SEO対策の費用も安くすみます。費用が安いので、たくさんのスモールワードに対し対策を打つことができます。このように、スモールワードの上位表示を多く狙う戦略をロングテールSEOと言います。
ユーザーにとって興味のある読み物を多数作成することで、スモールワードの検索結果に表示される頻度が高くなります。結果、スモールワード経由のユーザーによるアクセス獲得が期待できるのです。
③についても、具体的なケースを見てみましょう。ターゲットユーザーの次の2通りの行動のうち、どちらがより購買に結びつきやすいと考えられるでしょうか。
ターゲットユーザー:夏に赤ちゃんの服が欲しいと思っている人
A:「赤ちゃん 夏服」と検索し、夏服を販売するショップの商品一覧にたどり着く。
B:「赤ちゃん 夏服 選び方」と検索し、「夏服のおすすめ素材は涼しい“天竺素材”!」というコラムにたどり着き、同じサイト内で天竺素材の夏服を見つける。
Aが、まだどんな商品を買ったらよいか決めきれない段階でいるのに対し、Bの場合はターゲットユーザーに知識を与えることによって、より購買しやすい状況を作り出しています。リアルの店舗で、ショップ店員がお客さんにアドバイスをしているような状況です。
このように、コンテンツマーケティングとは、自社の商品やサービスありきではなく、ターゲットユーザーの知りたいニーズに応え、リテラシーを高めることによって購買支援をする重要な販売戦略なのです。
ターゲットユーザーの幅広い関心事を捉えるには、数多くのコンテンツを定期的に発信していかなければいけません。
特に、ターゲットユーザーが自社サイトをブックマークしてくれた場合には、コンテンツが更新され続けていなければ、すぐに訪問をやめてしまいます。
そこでコンテンツを量産する必要に迫られるのですが、自社にライターがいない場合外注することになります。その時にしっかりとした事業者を選ばないと、自社のブランドイメージを棄損しかねません。
注意したいのは、次のようなケースです。
コンテンツマーケティングでは、ターゲットユーザーの特性やニーズを熟慮し、購買意欲を「さりげなく」かきたてるコンテンツを作成しなければなりません。
「さりげなく」というのは、あまりにダイレクトに自社商品を推すようなコンテンツにすると逆に信憑性が損なわれるためです。さじ加減が難しいかもしれませんが、あくまで中立的なポジションで有益な情報を提供することがポイントです。
施策を実行するときは大体、KPI(Key Performance Indicators、重要業績評価指標)が設定されていることでしょう。
SEO担当者であれば、自社サイトのPVやUUの推移、リスティング担当者であればクリック率やCVRなど。これらのKPIは、投資さえすれば比較的短期間に実績が出る場合が多いです。
一方、コンテンツマーケティングを担当することになった場合、施策と成果が結びつきづらいことが悩ましいところです。有用な情報を発信したところで、短期的にはそのことがきっかけで顧客数が伸びた、とはなかなか検証しづらいもの。
コンテンツマーケティングは労力もかかるため、上司から「どれだけ効果が出ているんだ?」などと詰め寄られたら回答に窮する場面も出てくるでしょう。
そんな時には、コンテンツマーケティングの成果がでるまでには時間がかかるということを理解してもらいましょう。
あるブログサイト運営者の実績では、いくつかのブログサイトを立ち上げてコンテンツを投稿し始めてから1日3ケタの訪問者数を獲得できるまでに2ヶ月~6ヶ月を要したとのことでした。
その後さらに、ターゲットユーザーに自社サイトのコンテンツを気に入ってもらい、ヘビーユーザーにするためには数ヶ月を要することを考えると、コンテンツマーケティングで成果を感じ始めるまでには半年~1年は地道に取り組む必要があると言えます。
コンテンツマーケティングは、ターゲットユーザーのニーズと自社との距離を情報によって埋めていく重要なweb戦略です。
コンテンツを作成するにあたっては、ターゲットユーザーのニーズや関心事がどのようなことかを考え抜き、それを文書化することになるので自分自身の勉強にもなるでしょう。
もし、コンテンツ作成を外注するのであれば、必ず担当者が「ユーザーの行動を後押しする有益な情報になっているか?」をチェックしましょう。